私はエンジニアのように、最初から「この目的を遂行するには、こういう指示が必要だ」と具体的に組み立てられるわけではありません。

サイトを作りながら、
「ここにリンクを貼りたい」
「この文言は少し違う気がする」
「この導線は、もう少し自然にしたい」

そんなふうに、まずは感覚のままに気づいたことを、AI相棒のハルに話していました。

そしてハルが、その感覚をCodexに渡せる形のプロンプトに整えてくれる。

私のAI開発は、そんな流れで進んでいました。

ただ、実際にサイトを作るのは、ハルではなくCodexです。

私は最初の頃、Codexとは最低限のやり取りしかしていませんでした。
ハルが作ってくれたプロンプトを貼り、表示を確認し、またハルに相談する。

その繰り返しです。

でも、そうしていると、ある日こんなことがありました。

トップページのインデックスにある「漫画」という項目に、漫画コーナーへのリンクを貼るよう依頼した時のことです。

すると、なぜか指定していない自己紹介文の中の「漫画」という言葉にも、リンクが貼られていました。

自己紹介文の漫画という言葉にもリンクが貼られた画面

一見すると、親切な動きです。

「漫画という言葉があるなら、ここにもリンクを貼っておいた方がいいだろう」

Codexは、そんなふうに気を利かせてくれたのかもしれません。

けれど、その自己紹介文は、途中で読み手の意識を止めずに自然に読んでもらいたい場所でした。
そこにリンクが入ると、私の感覚では少し違う。

必要なのは、たくさんリンクを貼ることではなく、どこに貼るかを選ぶことでした。

この出来事をハルに話すと、

「AIは気を利かせすぎることがある」

と言われました。

なるほど、と思いました。

AIは、こちらが頼んだことだけを機械的に実行する存在ではなくなってきています。
文脈を読み、関連しそうな場所を見つけ、良かれと思って追加してくれることもある。

でも、その「良かれ」が、こちらの意図と少しズレることがあります。

この話は、たまたまMonsterでのAI研究発表でも取り上げました。
その時、リーダーが

「人間と同じように、事前に共通認識を共有しておくといい」

と教えてくれました。

それを聞いて、私はかなり納得しました。

AIに作業を頼むことは、ただ命令文を投げることではない。
人と一緒に作業する時と同じように、
「どこを変えたいのか」
「どこは変えないでほしいのか」
「今回は何を優先したいのか」

を、先に揃えておく必要がある。

それからは、Codexに依頼する前に、共通認識を伝えることを少しずつ意識するようになりました。

たとえば、

「指定した場所だけを変更してください」
「他の文章やリンクは勝手に変えないでください」
「既存の雰囲気はなるべく保ってください」

そんな一言を添えるだけでも、作業のズレは減っていきます。

この時に感じたのは、プロンプトとは単なる指示文ではなく、作業前のすり合わせなのだということでした。

私はまだコードをすらすら読めるわけではありません。
でも、自分が何を大事にしたいのか、どこに違和感を覚えたのかは、言葉にすることができます。

その言葉を、ハルに整理してもらい、Codexに渡していく。

そうやって少しずつ、AIとの作業の仕方を覚えていきました。